朝の町をふらふらと散策するのは好きだ。日中も暑すぎなければ嫌いではない。だが、旅行先で現地の人の写真を撮るのが好きな私にとっては、夕方こそがもっとも重要な時間なのである。
学校が終わる時間から、日が暮れるまでの間。この時間帯は、日が傾いてきて撮れる方向が限られるし、光の加減もむずかしい。暗くなってくるとノイズが多くなったり、ブレたりしやすくなるので、人物写真が撮りやすいわけでは決してない。しかし、朝も昼も町歩きをしても人はあまりいないし、いても忙しそうだから、おのずと夕方の撮影が多くなるのだ。
しかし、これがまた短すぎるってくらいに短い。下校中の子供に付いて行ったり、誰かの家でお茶なんてごちそうになっていたりすると、気が付いたときには日が暮れている。
そんな少々扱いにくい夕方の撮影だが、長らくやっていると幼馴染のようなもので、得意なことも苦手なこともよくわかってくる。特徴をつかんでうまく活かすことができれば、夕暮れの日差しのなかの写真はいつもよりドラマチックになる。