ネパールの食事文化は少し変わっていて、食事は1日2食である。2食だけ?と思うかもしれないが、2食はダルバートを食べる回数であって、それ以外のものは含まれない。ダルバートというのは、ダルは豆のスープ、バートはご飯のことで、それらにタルカリというカレー味の野菜のおかずや肉のカレーなどを添えたもの。ネパール人は飽きもせず毎日、毎食、これを食べる。
日本のほとんどのネパール料理屋さんで売られているのはカレーとナンだが、あれはインド料理であって、ネパール人はそんなものは普段食べていない。
一般的に朝にチャイと、ビスケットやパンを食べる。これは食事には含まれない。次に10時ごろ、学校や会社に行く人はもう少し早くに1回目のダルバートを食べる。この主食のことをカナと呼ぶ。1回あたりのご飯の量は半端なく、1合以上はゆうに食べる。次は午後3時前後に、カジャと呼ばれる軽食を取る。カジャは焼きそばだったり、ネパール式の餃子のモモだったり、インスタントラーメンだったり、全然軽食ではなく、普通に1食分はある。でも、ダルバート以外はカジャなのだ。焼きそばであろうが、10個入りのモモであろうが、ピザを1枚食べようが、なんであろうとダルバート以外はカジャなので、これも食事には数えない。そして、最後に夕食を食べる。もちろんダルバートだ。
お店でダルバートを頼むと、基本肉以外はおかわり自由となっている。ご飯もおかずも何回でもおかわりでき、ネパール人たちはちょっと引くくらいの量をかきこむように食べていく。まるで食べものではなく、飲みものかのような勢いで食べる。
誰かのお家なんかで、およばれしたときもおかわりは標準なんだが、おかわりを頼んでいなくても、少なくなったら勝手に追加してくるのでたいへんだ。おかげで「こんにちは」「ありがとう」の次に覚えた私のネパール語は「もう結構です」の「プギョ」。ただ、なかには「プギョ」って言っても、追加してくる人もいるので、その場合は自分の皿に入れられないように皿を体で守るしかない。ネパール人にごちそうされるのには激しい攻防がともなうのだ。